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LGBT理解増進法

はじめに
令和5年6月23日に、LGBT理解増進法(正確には「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」)が施行されました。
性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民一般の理解が必ずしも十分でないことにより生きづらさを抱える国民がいることが立法の根拠であると一般に考えられています。

性的指向及びジェンダーアイデンティティとは
「性的指向」とは、恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向と定義されています(2条1項)。
「ジェンダーアイデンティティ」とは、自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る意識と定義されています(2条2項)。内閣府のホームページによれば、その性質は、本人のその時々の主張を指すものではなく、自身の「性」についてのある程度の一貫性を持った認識を指すとのことです。

法の性質
LGBT理解増進法は理念法であって、国民一人一人の行動を制限したり、権利を与えるものではありません。罰則規定も設けられていません。
国・地方公共団体、事業主、学校の設置者に対し、性的指向等の多様性に関する理解増進に努めるよう求めているものです。

基本計画
政府は、理解増進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため基本計画を策定することになっています(8条)。
関係行政機関の職員をもって構成される性的指向・ジェンダーアイデンティティ理解増進連絡会議が令和5年8月に設置されましたが、同連絡会議において基本計画の策定に向けた連絡調整を行っていくとのことです。
内閣府のホームページによれば、同連絡会議においては、現在、各府省の取組説明、有識者からのヒアリング等が行われているようです。

事業主の努力義務
事業主に対しては、その雇用する労働者が性的指向等の多様性に関する理解を増進できるように努めることを求めています。
理解増進のための措置の例としては、情報提供、普及啓発、研修、就業環境の整備、就業環境に関する相談体制の整備等が挙げられています(6条1項、10条2項)。
また、事業主は、国又は地方公共団体が実施する施策に協力するよう努めることとされています(6条1項)。

学校の設置者の努力義務
学校(幼稚園は含まれません。)の設置者に対しては、児童等が性的指向等の多様性に関する理解を増進できるように努めることを求めています。
理解増進のための措置としては、教育、啓発、教育環境の整備、教育環境に関する相談体制の整備等が挙げられています(6条2項、10条3項)。
また、学校の設置者は、国又は地方公共団体が実施する施策に協力するよう努めることとされています(6条2項)。
なお、10条3項では「家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ」必要な措置を講じるとありますが、これは保護者等の協力がなければ取組を進められないという意味ではないと考えるのが通常でしょう。

留意事項
法12条において、LGBT理解増進法に定める措置の実施等に当たっては、性的指向等に関わらず、全ての国民が安心して生活できることとなるよう留意するものと定められています。
この規定に関して立法過程で様々な意見があったようですが、内閣府のホームページでは、「12条に定められた留意事項は、全ての国民が、その性的志向又は性的アイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理解増進法の基本理念(3条)を強調する趣旨でもうけられた」ものであるとしています。

 


【性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律】
第6条(事業主等の努力)
1 事業主は、基本理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関するその雇用する労働者の理解の増進に関し、普及啓発、就業環境の整備、相談の機会の確保等を行うことにより性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する当該労働者の理解の増進に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 学校(学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校をいい、幼稚園及び特別支援学校の幼稚部を除く。以下同じ。)の設置者は、基本理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関するその設置する学校の児童、生徒又は学生(以下この項及び第10条第3項において「児童等」という。)の理解の増進に関し、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ、教育又は啓発、教育環境の整備、相談の機会の確保等を行うことにより性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する当該学校の児童等の理解の増進に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

第10条(知識の着実な普及等)
1 国及び地方公共団体は、前条の研究の進捗状況を踏まえつつ、学校、地域、家庭、職域その他の様々な場を通じて、国民が、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めることができるよう、心身の発達に応じた教育及び学習の振興並びに広報活動等を通じた性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する知識の着実な普及、各般の問題に対応するための相談体制の整備その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
2 事業主は、その雇用する労働者に対し、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めるための情報の提供、研修の実施、普及啓発、就業環境に関する相談体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校の児童等に対し、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めるため、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ、教育又は啓発、教育環境に関する相談体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(山崎)

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