
勾留を争う弁護活動
警察官が容疑者(被疑者)を逮捕すると、48時間以内に、証拠等と一緒に被疑者を検察官に送ります(送検)。
検察官が更なる身体拘束が必要であると考えたときは、送致されてから24時間以内に、裁判官に勾留請求というものをします。
裁判官が勾留をすると、勾留請求の日から10日間、延長されるとプラス10日間の併せて20日間の身体拘束を受けることになります。
弁護士がこの勾留の際にできることは主に、①勾留請求をしないように検察官に働き掛けること、②勾留しないように裁判官に働き掛けること、③勾留がされた場合には、取り消しの申し立てをすること(準抗告)です。
まず①勾留請求をしないように検察官に働き掛けることですが、被疑者を勾留する必要はないなどとした意見書を担当検察官に送り、担当検察官と話をします。その中では、「○○○」という理由で被疑者は逃亡したり罪証隠滅をしないのではないかということなどを伝えます。○○○には、逃亡・罪証隠滅の可能性が低くなる事情、例えば、身元引受人を確保したこと、被害者に賠償金を支払う準備をしていることなどが挙げられます。
それでも検察官が勾留請求をするということになると、次は②勾留しないように裁判官に働き掛けることです。
被疑者が裁判所に連れていかれる日に(勾留請求の翌日が多いです。)、裁判所に被疑者を勾留する必要がないなどとする意見書を事前に送り、裁判官と面会又は電話をする予約をします。
裁判官との面会又は電話では、ここでも被疑者が逃亡したり、罪証隠滅したりしないのではないかということなどを伝えます。
それでも裁判官が勾留をした場合には、③勾留の取り消しを求めることになります(準抗告)。
裁判所に、勾留の取り消しを求める準抗告申立書というものを提出します。
ただし、この申立書について裁判をするのは裁判官3人の合議体です。
①②に比べると、認められることは少ないように感じます。
①②③のいずれにおいても、検察官・裁判官への説得材料を集めることが大事です。
以上のように、勾留を争う弁護活動は色々なことを短期間でしなければならないものです。
多くの弁護士は急に言われても(逮捕は通常いきなりです。)、対応できる時間がないことが多いのではないかと思います。
そのためもあり、弁護士会が当番弁護士制度というものをもうけています。
当番弁護士制度は、弁護士が1回無料で逮捕された人に面会に行く制度です。
逮捕された人やその家族は各地の弁護士会に当番弁護士の派遣を要請することができます。