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動物虐待等に関する対応ガイドライン

1 はじめに
環境省は、令和4年3月29日に、動物虐待等に関する対応ガイドライン(以下「同ガイドライン」といいます。)を公表しました。
同ガイドラインは、虐待を受けるおそれがある事態(動物愛護法25条)と動物虐待等事案(動物愛護法44条)への対応について、主に、地方自治体の動物愛護担当職員を対象として策定されたとのことです。

2 虐待を受けるおそれがある事態への対応について
(1) 行政の権限
都道府県知事は、動物の飼養又は保管が適正でないことに起因して動物が衰弱する等の虐待を受けるおそれがある事態が生じていると認めるときは、当該事態を生じさせている者に対し、期限を定めて、当該事態を改善するために必要な措置をとるべきことを命じ、又は勧告することができます(動物愛護法25条4項)。(*1)(*2)
命令に違反したときは罰則の適用があり得ます(46条の2)。
同ガイドラインでは、虐待を受けるおそれがある事態が生じた段階において行政が適切に勧告等を行うことにより、動物虐待等事案への発展を未然に防止することが重要であるとしています。

(2) 手続きの流れ
通常の手順としては、勧告を発し、守られなければ、弁明の機会を付与した上で命令を発するといった順に進んでいくものですが、常にそのように進むとすれば、動物の生命に危険が生じてしまうということも考えられます。
そのため、同ガイドラインでは、勧告のステップを踏まない命令も許容されており、また、真に急を要する場合に限って弁明の機会の付与も省略できるとしています。

(3) 立入検査の重要性
都道府県知事は、命令又は勧告のために必要なときには、動物の飼養又は保管をしている者に対し、飼養若しくは保管の状況その他必要な事項に関し報告を求め、又はその職員に、当該動物の飼養若しくは保管をしている者の動物の飼養若しくは保管に関係のある場所に立ち入り、飼養施設その他の物件を検査させることができるとされています(25条5項)。立入検査の拒否、妨害、忌避に対しては罰則の適用があり得ます(47条の3)。
同ガイドラインでは、立入検査は、虐待を受けるおそれがある事態を把握するための重要な手段であって、刑罰による間接強制を定めた法の趣旨からしても、拒否等に対しては厳正に対処する必要があるとしています。簡単に言うと安易に引き下がるべきではないということでしょう。

(4) 刑事手続との関係
行政処分と刑事処分は目的が異なる別個のものです。そのため、ガイドラインでは、刑事手続が取られていることをもって行政処分を行わないことは不適当であるとしています。
さらに、公訴が提起されているにも関わらず、行政が何ら処分を行わないとすることは、動物愛護管理行政に対する国民の不信を招きかねないものであるとも指摘しています。

3 動物虐待等事案について
(1) 動物虐待罪等の内容
動物愛護法においては、愛護動物殺傷、愛護動物虐待、愛護動物遺棄の各罪が定められています(44条)。(*3)
虐待にはネグレクトが含まれます。遺棄とは、動物を移転又は置き去りにして場所的に隔離することにより、動物の生命・身体を危険にさらす行為をいいます。

(2) 警察への通報等
同ガイドラインでは、動物虐待等事案に該当する可能性が高いと判断した場合は、管轄する警察署の生活安全部局と情報共有することが重要であるとしています。
積極的虐待や明らかなネグレクトを現認するに至った場合は、警察への相談や通報、告発等を行うこととしています。(*4)

(3) 警察への協力
同ガイドラインでは、行政に対し警察による捜査に協力するよう求めています。
行政には指導、立入検査等を通じて得た情報がありますので、警察に適切に証拠資料を提出するよう求めています。また、警察から同行を求められた場合、可能な限り協力するとしています。

(4) 警察との役割分担
動物の取扱いについては警察が対応しきれない部分もあるため、同ガイドラインでは、行政が警察のフォローをすることを求めています。
警察が押収した動物の一時保管を依頼された場合は、必要に応じ動物愛護管理センター等が協力することとしています。
また、虐待されていた動物が行為者により飼養されている場合、行為者が所有権を放棄するよう積極的に働きかけることとしています。所有権が放棄された犬猫については、可能な限り動物愛護管理センター等での引取りを検討するほか、動物愛護ボランティア等と連携することにより、譲渡につなげることとしています。

4 今後の課題
現行法においては、虐待をした飼い主から、所有権を剥奪したり、所有権の行使を一時停止させたりする法律は存在しません。同ガイドラインでは、虐待をした飼い主に所有権を放棄するように働きかけるとしていますが、その働きかけがうまくいかなかったときに飼い主に返還されてしまうということもないとはいえません。したがって、立法的解決が必要ではないでしょうか。

*1
環境省令で定める事態の具体的な内容は動物の愛護及び管理に関する法律施行規則12条の2に規定されています。

*2
虐待を受けるおそれがある事態の対象動物には、哺乳類・鳥類・は虫類(畜産、実験用のものを除く)のうち、自然環境の下で自活する純粋な野生動物を除いた動物が当たります。

*3
動物虐待等事案の対象動物には、牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひるのほか、人が占有している動物で、哺乳類、鳥類、爬虫類に属するものが当たります。

*4
告発は、動物愛護管理部局が自らの責任と裁量に基づき、①犯罪の重大性、②犯罪があると思料することの相当性、③今後の行政運営に与える影響等の諸点を総合的に検討して判断するものとしています。また、円滑に告発が受理されるために警察と相談・事前協議することを推奨しています。

(山崎)

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